MBD一言だけ言わせて下さい!

元MBDエンジニアが経験を基に企業が本当にMBDを導入するために何が必要なのか徒然ぼやいているブログです。

2本目_MBD、MBSEの定義(簡易版)

さて、今回のブログを進めて行くにあたり、言葉の定義をここで実施しておきたいと思います。(なお、この回ではまずは導入として簡易的な説明とさせていただき、回を追うことで正式な定義の説明をしてゆきたいと思います。)

MBD…Model Based Developmentの略

世の中にはDを“Design”とする内容もありますが、DesignはあくまでDevelopmentの一部だと考えていますのでこのブログでは上記の訳詞で統一します。

MBDを簡略化した形で説明すると、「あるモデルをシミュレーションを使って開発をすること」と言えます。

では、シミュレーションとはどんなものがあるのか?

  • 3Dシミュレーション…字の如く、3次元空間を用いたシミュレーションで空間的要素を含む物理演算が実施できるもの。(一般の方々が想像する”シミュレーション“はこちらが大きいかと思います。)
  • 1Dシミュレーション…エネルギー保存を原則とした各要素に対する物理演算、言い換えればエネルギーがどんどん各要素で交換されてゆく(1次元方向)有様を表現したシミュレーション(MBDで使われるシミュレーションは現在こちらが多くなっていると思います。)また、某ソフトウェア会社が仰っているように制御モデルも指示系統の1方向性を記述したものになりますので1Dシミュレーションとみなすこととします。

ただ、注意していただきたいのは今後の内容でも掲載しますが、いづれの計算においても完璧なシミュレーションは現代技術ではまだ到達できていないこと、よって必要に応じて双方(3D,1D)のシミュレーションをそれぞれ使い分ける必要があるということに今のところは留意していただければと思います。(なぜ完璧な計算ができないかは別途お伝えします。)

 

MBSE…Model Based System Engineeringの略

モデルベースとした「システム」レベルでのエンジニアリング、要はシミュレーションでシステム開発(車で言えばトランスミッションやエンジンという括り。ただし、自動車会社なのか部品会社なのかでこの”システム“の括りが異なることに注意する)をするということ。

これまでのエンジニアはある特定の部品開発で要求仕様を満たせれば良かったが、MBDを使うことでより上位のシステムとしてのエンジニアもできるようになるということ。(つまり、部品開発者が部品だけの耐久性だけでなく燃費まで検討できる仕様までモデルを使って考えれるようになるということ)

 

次に、上記2つの関係性に関して言及しておくと、MBSEの中にMBDが包含されているという関係になります。その理由として、MBDはモデルを使った開発であり、それを活用してシステムズエンジニアリング(=SE)するということから、あくまで包含関係としてあると認識していただくのが良いかと思います。

また、これも認識していただきたい一つとしてMBSEと MBDは両方とも「手段」でしかないということに注意して下さい。よって、戦略的な検討もせずに導入するだけでは確実にただの宝の持ち腐れになりますしお金をかけたのに製造業におけるVモデル開発の改善がうまくいかない...っという結果になるのは目に見えている(私は見てきました)ので、是非導入したいと考えているのでしたら自社の開発を見て、どのように導入することでうまくいくのかをしっかりと戦略立てて対応していただけると幸いです。(後々ですが、その導入方法に関しての戦略的な考え方なども掲載します。)

 

今回は定義とその関係性に関してまとめました。